EARNINGS REVIEW
証券コード 9861(東証プライム)/ 対象期間 2026年3月〜5月/ 決算発表 2026年7月8日
第1四半期は増収増益で好発進しました。売上高は587億円と前年同期を12.5%上回り、 本業の稼ぐ力を示す営業利益は前年のおよそ2.4倍に拡大しています。 値上げに依存せず、来店客数の増加によって伸ばした点に今期の質の高さがあります。 背景には、3月に実施した国内グループ会社の統合による組織効率化があります。
売上高
営業利益
純利益
01 ── PERFORMANCE
営業利益・経常利益・純利益はいずれも前年同期比で2倍を超えました。売上の増加が費用の増加を大きく上回ったことで、増収幅(+12.5%)以上に利益が伸びる構図となっています。
利益の前年同期比較
単位:億円 / 前年(2025年3〜5月)と当期(2026年3〜5月)の比較
02 ── DRIVERS
要因は「客数を増やしながら、費用の膨張を抑えた」ことに集約されます。売上が12.5%伸びる一方、販売費・一般管理費の増加は7.8%にとどまり、その差が利益へ直接寄与しました。
原点である牛丼の価値を高めるメニュー投入で来店客を取り込みました。新セット「牛丼・油そばセット」は発売から約1か月で150万食を突破。新アンバサダーを起用したテレビCMやキャンペーンも奏功し、全社の既存店売上高は前年同期比9.8%増となっています。
3月に全国の吉野家事業会社6社を吸収合併し、意思決定を一元化しました。本社機能と事業会社が一体運営となったことで経営資源の配分が最適化され、費用の伸びを抑制。結果として、収益性の指標である営業利益率は前年の2.0%から4.3%へと改善しました。
売上100円あたりに本業で残る利益(営業利益率)は、前年の2.0円から当期は4.3円へ。売上の規模拡大と同時に、1円あたりの稼ぐ効率そのものが約2倍に高まったことが、今四半期の最大の特徴です。
03 ── SEGMENTS
事業は「吉野家」「はなまる」「海外」の3区分。売上の約3分の2を吉野家が占め、利益面でも全体を牽引しています。3事業すべてが前年から二桁増益を達成しました。
セグメント別の売上構成(外部顧客向け)
当期売上高 587億円の内訳
| セグメント | 売上高 | 前年比 | 利益 | 前年比 | 店舗数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 吉野家 | 390.6億 | +13.7% | 25.0億 | +169.3% | 1,287 |
| はなまる | 88.3億 | +10.4% | 8.6億 | +19.8% | 421 |
| 海外 | 78.0億 | +13.7% | 5.2億 | +26.3% | 1,041 |
売上・利益ともに柱となる吉野家が突出し、利益は前年の約2.7倍(+169.3%)。テーブル席やタッチパネルを備える新サービスモデル店舗は600店へ拡大しました。海外も堅調で、米国はアプリを活用した施策で回復基調、中国は会員制度を軸に収益を確保しています。グループ全体の店舗数は2,890店です。
04 ── OUTLOOK
会社が公表する通期予想(〜2027年2月)に対し、第1四半期の進捗率を示したものが下図です。1年の4分の1が経過した時点の目安は25%。利益はいずれもこの水準を上回り、特に純利益は37%に達しています。
通期予想に対する第1四半期の進捗率
点線 = 1年の4分の1(25%)の目安ライン
進捗は明確に先行しているものの、会社は通期予想を修正せず据え置きました。下期にかけて原材料費・人件費・出店コストの上昇を織り込む慎重な構えとみられます。裏を返せば、第1四半期の勢いが持続すれば上方修正の余地を残す構図でもあります。
05 ── BALANCE SHEET
総資産は前期末から70億円増えて1,318億円。自己資本比率は52.6%と、一般的な健全水準の目安(40%)を大きく上回ります。年間配当は1株22円の予想を据え置き、株主還元の方針も維持しています。
総資産に占める返済不要の自己資本の割合。50%超は財務的にかなり安定した水準です。短期借入の増加でわずかに低下したものの、健全性に懸念はありません。
中間11円+期末11円で前期と同額の予想。1株当たり四半期純利益は28.03円(前年11.48円)と大きく伸びており、利益の裏付けは厚くなっています。
製造子会社「宝産業」の国内拠点を2か所から5か所へ拡大し、供給網の最適化と品質安定に投資しています。短期借入の増加は、こうした出店・供給体制強化を支える前向きな資金調達の側面が強いといえます。
06 ── SUMMARY
同社は、既存の吉野家事業を変革する「変身」と、ラーメン事業や海外など新たな収益源を育てる「成長」を最重要課題に掲げています。今四半期は、その戦略の滑り出しが数字にはっきりと表れた決算だったといえます。